温泉掘削及びポンプ設置工事で、高さ約13メートル付近で櫓の組み立て作業中
U字吊りで使用していた安全帯のフックが「カラビナ」から外れて墜落。 |
平成18年1月
船橋労働基準監督署 |
<災害発生状況>
この工事は、温泉井掘削工事・楊湯ポンプ設置工事を、2次の下請けとしてA建設が受注した、工期が平成17年4月13日から4月17日(5日間)まで、工事の内容は、櫓の組み立て(鳶工4人*
5日)の作業である。
A建設は土木工事、ボーリング機械設備設営・解体・移設一式工事、クレーン作業の請負等を事業内容としている。
櫓の詳細図は作成されていないが、「柱(垂直方向材)」、「抜き(水平方向材)」、「筋交い」と呼ばれる単品の部材によって構成されているが、2面分については単品の部材をあらかじめ地組みしたもの(
「段」と呼ぶ単位)を移動式クレーンで吊り上げて据付け、その間に単品の部材を取り付けていくという方法で進められていた。
部材の固定にはボルトナットが使用され地組みした2面分を据え付けた後、単品部材を地上から順に取り付けていくものであったが、作業者は水平方向の移動には抜きを使用していた。また、作業者は後付けの昇降設備とあらかじめ柱に取り付けていたクランプの昇降に使用していたが、昇降設備は1段目の作業が完了した後に地組みをした面ではなく単品部材を取り付けた面に設けられていた。
櫓を組むための基礎はブロック状になっており、坑口を囲むように4つのブロックをH鋼で繋ぎ合わせて基礎が設けられていた。災害生前日は櫓の基礎、ドロウォークスというい「ロット」を上げ下げする装置を設置後、1段目の地組みと2面分の据え付けを行ったが、単品部材の取り付けまで終了しなかったため、地組み材の転倒防止のため間に抜きを1
本取り付け作業を終了した。
災害発生当日は前日の作業の続きが行われ、午前中に地上から1段目の単品部材の取り付け、昇降設備の取り付け、2段目の地組み材1面分の据え付けまで終了した。
昼食後、2段目の残り1面分の地組みを作業者全員(被災者、他3人)で行ったがその内の1人の作業者を玉掛者として地上に残り、被災者を含む3人が櫓へ上がった。
作業責任者(以下「責任者」という) は手持ちのボルトを補充した上で櫓に上がったため、被災者、作業者が1段目最上部の柱で地組み材を据え付ける箇所に待機していたが、責任者は地組み材に生じる若干の傾斜により先に2段目と重なり合う被災者側の作業を補助するため、被災者が待機している箇所へ行き移動式クレーンで吊られている地組み材が振れることがないよう作業を補助した。この時、責任者は2段目の柱筋交いに手を添えて地組み材の振れを防いでいたが、1段目最上部の抜きに安全帯を掛けていた。また、被災者は1段目の柱に取り付けてクランプ2個を足場にして、1段目の柱と抜きの接合部に安全帯のロープを回し掛けていた。
被災者がねじ穴にボルトを入れ、ナットで仮締めしようとした時、責任者は被災者と柱を挟んだ反対側でねじ穴がずれないように見ていたが、「あつ」という声を聞き被災者の方を見たところ、高さが約13メートル櫓からまさに墜落するところだった。被災者は櫓の基礎となっているH鋼に激突した後にその下の地面に墜落し、病院に搬送され入院加療中に午後5時 15分に死亡した。
災害発生現場では櫓の組立てにあたって足場は設置されていなかったが、作業者があらかじめ柱に固定していたクランプに足を掛け、安全帯のロープを柱に回し安全帯のD環にフックを掛ける方法(U字吊り)により墜落防止措置を講じていた。 |
| 原因と対策 |
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| <原因> |
| 1 |
使用の用途が工具ホルダーであるカラビナにU字吊りの方法で安全帯のフックを掛けて使用していたこと。 |
| 2 |
安全帯のフックを掛ける箇所にカラビナを取り付けて使用していたこと。 |
| 3 |
1本吊り専用である安全帯をU字吊りの方法で使用していたこと。 |
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| <対策> |
| 1 |
工具ホルダーとして使用すべきカラビナには安全帯のフックを掛けさせないようにするとともに、安全帯の正しい使用方法を作業者に周知徹底すること。 |
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| 2 |
不適格な安全帯が使用されることがないよう安全帯の点検を十分に行うとともに、許可なく安全帯の機能を変更することがないよう作業者に周知徹底すること。 |
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| 3 |
安全帯をU字吊りの方法で使用する場合は専用の安全帯を使用させるとともに、U字吊りが禁止となる安全帯を使用することがないよう現場入場前、作業開始前に十分な確認を行うこと。 |
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| 4 |
櫓の組立て作業においては無ロープ状態による墜落の危険等が考えられることから、本質安全化のためキーロック方式安全ロープを使用した作業方法の導入を進めること。 |
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